robou55’s diary

http://d.hatena.ne.jp/robou55/ のつづき

名医の条件

鼓膜の奥の鼓室に肉芽がいっぱいというトラブルを抱えるTくん、大学病院でみてもらおうということになったのだが、みてもらえるまでに時間があったので奥さんが聞き出してきた高名(らしい)なA先生にみてもらうことにした。


一見普通の町医者風の個人病院で、思っていたほど年を感じさせないその先生は、声も大きく物言いもはっきりしている。こちらの説明を聞いた後、診察し、「おー肉芽が出てるねぇ。これは珍しい」「基本的にはステロイド系の薬を点耳薬で入れていくしかないでしょう」「ステロイドを使うとカビがつくことがあるんで、それだけ気をつけないといけないんですよ」「時間はかかりますね」とご判断。


悪性に転じることはないでしょうか?、とおそるおそる尋ねると、「そういうことはまずありません」と断言。聞こえの良し悪しに関しても、「もともと子供は大人よりも遙かに良く聞こえるので骨に異常がなければまあまあ聞こえているでしょう。わるくても大人よりちょっと聞こえないくらいじゃないですかね」と教えてくれた。


治療方針は以前にかかりつけのB先生に言われたことと同じなのだけれども、経験にも裏打ちされたと思われる明快な判断と、基本的な動作の手際の良さ(手が自動的にやっている、という感じ)、素人にもはっきりとわかる説明など、名医のオーラが漂ってきた。


この感覚、口蓋裂の手術をしてくれたN先生とも通じる物がある。「医療を自分の物にしている」感とでもいうのだろうか。医者と言うよりは、医術の師匠、という領域に達しているのだと思う。


実は、かかりつけのB先生も訪問予定だった大学病院の先生もA先生のお弟子さんだそうで、A先生の判断を聞いたB先生は俄然自信を持って治療に取り組んでくれている。


「あいつのやり方はもう古い」とか言わない、素直なよい弟子である。


教訓:町医者には大学病院を超える名医が潜んでいることがある。